2016年03月18日

2016年2月の読書

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:40冊
読んだページ数:9322ページ
ナイス数:230ナイス

つくられた縄文時代: 日本文化の原像を探る (新潮選書)つくられた縄文時代: 日本文化の原像を探る (新潮選書)感想
縄文時代ひいては歴史というのは常にアップデートされているのだなあと思わされる一冊。縄文時代という概念もそもそも石器時代との対照ではなく元を正せば土器の文様だったり貝塚の発見などの発掘されたものから規定していくがこれが二転三転していたというのだから面白い。特に縄文というのを日本の独自のアイデンティティを結びつけるような動きが戦後の考古学の動向の中であったりしたという。一方で人類学的には縄文時代には既に原日本人ともいえるずんぐりむっくりとした骨格の骨が発見されているというから驚き。日本人とは何か問い直したい
読了日:2月27日 著者:山田康弘
脱出老人: フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち脱出老人: フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち感想
前作の日本を捨てた男たちにはフィリピンに渡り女性に捨てられてホームレスのような暮らしをする人が出てきた。それを読んだ時にフィリピン人とか東南アジアの女性に惚れて失敗したり散財する男性というステレオタイプな日本人と東南アジアの女性の物語もありつつそれだけにはとどまらない多くの渡航例が出てくる。その先鞭となった女性は本の中ではマニラ暮らしを満喫していたがその後、老人ホームに入居する際に騙されて最終的に身ぐるみはがされて日本に帰国して死んだそうだ。金の無心をして著者と決別する男性などとにかく人間臭い
読了日:2月27日 著者:水谷竹秀
『罪と罰』を読まない『罪と罰』を読まない感想
古典の作品って意外と読んでいないのが多い。ドふとエフスキーの罪と罰もその代表的な作品。しかも罪と罰を読まないまま4人がそれぞれの情報の範囲で(一部訳した翻訳者やテレビであらすじを見た人だったり)順番にストーリーを勝手に想像を膨らませる。その中心にいるのが超適当だけどいちいち笑わせてくれるのが三浦しをんさんでこの人の天真爛漫ぶりと数々の作品を読んできた読書家としての一面も見えたりして罪と罰をちゃんと読まなくてもすっかり読んだ気がするのは気のせいか。本当にストーリーは覚えなくてもいい気がした
読了日:2月27日 著者:岸本佐知子,三浦しをん,吉田篤弘,吉田浩美
身辺図像学入門―大黒からヴィーナスまで (朝日選書)身辺図像学入門―大黒からヴィーナスまで (朝日選書)感想
文脈というのを意識するようになったのは西洋美術のアトリビュートや仏像の持ち物から読み取ることを学んだからだ。絵画やデザインの題材もしかりで七福神や八仙人、寒山十得みたいなものもある。中でも驚いたのが福助の由来の俗説だがあまりにもひどい昔ならではの語源もありこれは非常に1個1個知っているだけで世界が広がる。水引が生魚を示すものだったりとイチイチ学びが多い。こういう本をもっと読みたい今日この頃
読了日:2月27日 著者:岡泰正
一回半ひねりの働き方 反戦略的ビジネスのすすめ (角川新書)一回半ひねりの働き方 反戦略的ビジネスのすすめ (角川新書)感想
平川さんのデビュー作がまさかの2回目の復刊らしい。どうも以前に読んだことがあったようなので既読感もあったんだけどそれはそれで小商いのすすめに繋がるような起業論でありモチベーションでもありました
読了日:2月27日 著者:平川克美
1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)感想
タイトルは柳沢健さんの「1976年のアントニオ猪木」の翻案。98年というCD売上が最高だった時期の女性アーティストを扱っている。ロッキンオンの出身だから椎名林檎なんかの論考は読みやすかったけどaikoはちょっとその世界観を表現できずに菊地成孔の文章で楽曲構成になってしまったのはちょっと残念。正直aikoや浜崎みたいな同性人気の強いアーティストをいかに男性の評論家が書いてくれるのかという素朴な期待もあったのだがちょっと食い足りない。その分、宇多田は完全にロッキンオン的なバイオで振り返る手法が功奏していたかも
読了日:2月27日 著者:宇野維正
情報の強者 (新潮新書)情報の強者 (新潮新書)感想
毎週、伊藤さんのポッドキャストを聞いているのでこの人の情報の取捨選択力というのはなかなか的を得ているというか英語圏のNY TIMESやウォールストリートジャーナルを読みこなしてグローバルな文脈(すごくオーソドックスな経済の流れや政治の解説)をしているので参考にしていた。その伊藤さんの情報の取り込み方を読んでみるとそんなに特別なことはしていない印象。ただここでも定点観察と時間のない中でのいかにネット上のノイズを排除していくかというのに腐心しているのがわかる。さらにインプットとアウトプットのルーティン化かな?
読了日:2月21日 著者:伊藤洋一
宗教に関心がなければいけないのか (ちくま新書)宗教に関心がなければいけないのか (ちくま新書)感想
小谷野さんのフィールドである古今の文学をあげつついかに日本の近現代史の中で宗教的なテーマ性が強いかというのを紹介している。それもそのはず、著者の小谷野さん自身も誰よりも死の恐怖から逃れられずにいる訳で実はタイトルと真逆な宗教的な人でありました。そこで宗教性と宗教への関心を切り離していて結局、宗教が持つ集団制や原理的な部分に拒否反応を示しているのが結論。宗教=組織でありオカルトでなく事実が個人主義を軸とする生き方だと高らかに宣言していて何とも痛快な着地点に脱帽するばかり。オカルトの否定も徹底していて愉快だな
読了日:2月21日 著者:小谷野敦
プロ格闘家流 「できる人」の身体のつくり方 (イースト新書Q)プロ格闘家流 「できる人」の身体のつくり方 (イースト新書Q)感想
修斗のトイカツといったら派手なファイトスタイルで結構懐かしいとか思いつつたくさんのジムの経営しているやり手の経営者になっていたとはそれだけで驚き。しかも運動によるダイエットに着目していてその項目も筋トレというよりは柔道の練習でやっているエビだとかブリッジとか補強でやっいた項目があるのは格闘技好きにはちょっと信用できるなあ。食事についても至ってまともで体のいいものをとるという原則から低GIを推奨していたりするのもいいかも。有酸素運動よりも無酸素というのは石井直方さんと一緒だしどれも至極まともで読み応えもあり
読了日:2月21日 著者:戸井田カツヤ
ブッダから、ほとけへ――原点から読み解く日本の仏教思想ブッダから、ほとけへ――原点から読み解く日本の仏教思想感想
原始仏教が日本にたどり着くまでには大きな変遷がある。根本分裂も含めてそのキーワードや仏教の根本的な理論について解説しているのですがこれが仏典を軸にどのように展開していったかということに着目していてブッダがその存在から仏典を通して概念化していくこと。さらには厳正から過去生や未来性までを包括した宇宙の原理も解説していてとてもまとまっていてうなるばかり。中でもヨーガやマンダラと言った実践としての仏教の意味とか瞑想についての手法の違いについてはかなり本格的な解説で身体技法としての変化についてとても参考になった
読了日:2月21日 著者:立川武蔵
出版アナザーサイド出版アナザーサイド感想
著者の藤脇さんと言えば90年代の初めに「出版幻想論」という素晴らしい本を書いて話題となった。裏方が本を出すのはせいぜい編集者ぐらいだったが営業の社員が出版の世界を語るというだけでなく「本は売れなきゃ意味がない」といったのだからかなりセンセーションに捉えられた。あれから約四半生紀がたつがその予言はいわば今読んだら当たり前の話だろう。その藤脇さんが定年を迎えて主に編集としての自叙伝的な内容がこちら。主に音楽やサブカルチャー、中でも小林信彦や大瀧詠一との交流とかうらやましい限り。白夜書房という時代の徒花の一代記
読了日:2月21日 著者:藤脇邦夫
味なメニュー味なメニュー感想
平松さんの本の中でも有名なB級グルメや大衆酒場のスポットに足を運んで関係者に話を聞きながら原稿にするスタイルの文章は久しぶりに読んだかもしれない。しかし、ここに登場するお店のどれもがやっぱり平松さんのセレクトと思えるような身近なお店の数々にメニューはどれもお腹がすいてきます。中でも都内にワゴンでお弁当を売っているアジアンランチを紹介していていやはやそうそうとその目配りぶりについついほくそ笑んでしまったのはいうまでもない。東銀座のシチューがおいしい「銀之塔」も超定番ではあるけどそれは平松さんの文章なら楽しい
読了日:2月21日 著者:平松洋子
芸者論―神々に扮することを忘れた日本人芸者論―神々に扮することを忘れた日本人感想
著者の岩松さんが和のイメージと芸者の歴史というのが結びつかなかった。そこにはどうしても白拍子や売春といった部分や吉原の花魁と芸者の違いなど露骨に性を語らざるをえないところがご本人の語り口とは相容れないと思っていたからだ。ところがそうした杞憂はまったく必要なかった。その原点に折口信夫をあげているように日本古来の性のありようから風流の洗練に至り貴族社会での性のやり取りなども実に巧みかつわかりやすく解説していていちいち納得するばかり。その性の歴史もおおらかというのではなく極めて風流と一期一会の狭間も感じるばかり
読了日:2月18日 著者:岩下尚史
残酷な王と悲しみの王妃2残酷な王と悲しみの王妃2感想
またまた中野ワールドを堪能。今回登場するのはバイエルン王国のルートヴィヒ2世。ワーグナーのパトロンでもありノイシュバウンテン城も作っただけでなく男色家としても有名だったとか。スペインハプスブルクのカルロス4世はゴヤの庇護した人物で有名ですが妻のマリアルイサと愛人のエピソードからナポレオンによる介入など実に波瀾万丈。他にはデンマークがらみでロシアに嫁いだアレクサンドル3世妃のマリアだったりイギリスから統合失調症を患っていた夫の元に嫁いだカロリーネ・マティルデなどこれまた側近医師と恋に落ちて子供産むとは大胆
読了日:2月18日 著者:中野京子
人間にとって寿命とはなにか (角川新書)人間にとって寿命とはなにか (角川新書)感想
本川先生の新作。今回も刺激的な内容満載でしたがドーキンスの「利己的遺伝子」の説に近いながらも生命である私を伊勢神宮と対照して考えていて遷宮のように自分が新しくなって次の世代にバトンタッチされるというエピソードから本川先生の生命観みたいなものが垣間見える気がした。その上で生態系のネットワークの中の私という捉え方をしていた上田閑照さんの哲学論も紹介していて「私」を拡張して周辺の他者や自分に関わるものを私的に捉える手法はかなり仏教的な感じ。現役時代は遺伝子の奴隷であり老年世代は次世代のため奉仕せよは著者の心情か
読了日:2月17日 著者:本川達雄
台湾おしゃべりノート 地球の歩き方編集女子が見つけたTaiwan最強の楽しみ方教えます (地球の歩き方BOOKS)台湾おしゃべりノート 地球の歩き方編集女子が見つけたTaiwan最強の楽しみ方教えます (地球の歩き方BOOKS)感想
地球の歩き方に関わっているライターや編集者の生の情報が詰まった本。どこから読んでもいいし若干古いけど二度目以降のリピーターにはうれしい内容。付箋だらけでちょっと次回の旅の参考になった。かなり台湾料理には詳しくなれますw
読了日:2月17日 著者:富永直美著,阿多静香著,谷口佳恵著富永直美著,谷口佳恵著
宗教消滅 資本主義は宗教と心中する (SB新書)宗教消滅 資本主義は宗教と心中する (SB新書)感想
この本では戦後の日本を皮切りに宗教の信者が減っている動向に注目。その背景を国ごと固有の理由だったりグローバリズムとの関連で捉えている。日本の場合は失われた25年と経済の停滞という中で葬式の簡略化が進むことで宗教なき日本での葬式仏教の意義自体が問われていくとといている。一方、宗教が持つコミュニティ的な機能もインターネットや家族回帰の流れの中でどう宗教が役割を果たしていくのかというのは一神教の中でも巨大な流れかも知れません。そうした中で信者を広げるイスラムもISなどの矛盾も内包するそんな問題意識に気づかされる
読了日:2月17日 著者:島田裕巳
自分の人生を生きられないという病 (ベスト新書)自分の人生を生きられないという病 (ベスト新書)感想
キーワードは「ポジティブNO」と「ネガティブYES」である。前者は前向きに生産性を高められる人であり後者はその逆であることは言うまでもない。著者は日本人の特性として後者の「ネガティブYES」が長年続けてきた悩み相談をする人の共通項として底流に流れているとする。それはある種の日本人が共通する抱えた病といってもいいのかもしれない。そうした時代は閉塞感をもたらす訳でそこから一歩飛び出しましょうというのが趣旨だ。本書にはその答えはあるもののその手段は書かれていない。世界観を手に入れるのはその人次第ということらしい
読了日:2月17日 著者:加藤諦三
動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)動きが心をつくる──身体心理学への招待 (講談社現代新書)感想
心というのは独自にあるものでなくて行動から生じるものもあるよというのが本著の趣旨。これは石田淳さんの行動心理学とも通じる議論だったり昨今の腸の健康の問題だったりして人間が認知する心の問題は実に多岐に渡る。心の声を聞くというのは、実は内臓や皮膚や統合系の反応もさることながら他者や環境との相対から湧き出てくるものとして考えた方がいいというのは著者の主張。そう考えると自分の意志というのは様々な反応の統合した結果ともいうことができる。それなら行動を変えれば自ずと体の気分も違うというマインドフルネスにも注目している
読了日:2月17日 著者:春木豊
中国語はおもしろい (講談社現代新書)中国語はおもしろい (講談社現代新書)感想
かなり前の本ですがとにかく中国語大好きな著者の愛情と様々な体験が込められた一冊でとても読んでいて楽しめた。中国語圏というインターネットのクラウドにアクセスするには語学を学べば広がる訳で昨今のネットの辺境的な考えとかに閉塞感を感じる人にはいいかもしれない。中でも線核問題が日本で顕在化する以前の1971年にアメリカに帰属していた尖閣が日本に一括返還された時に北米の留学生の間で反対運動が起きたこと。香港返還前年の96年にも香港で激しい尖閣返還運動が起きて死者も出たという現実も大きなフレームで捉えている。おすすめ
読了日:2月17日 著者:新井一ニ三
終末の思想 (NHK出版新書 398)終末の思想 (NHK出版新書 398)感想
晩年近くに書いていた野坂さんの文章には日本に対する諦感みたいなものもありつつどこかでファイティングポーズをとっているという強さがある。そこには敗戦の経験でありその人間感や国家を信用しないという組織に対する猜疑心も含めてとても共感するばかり。震災後の反原発の文章の力強さには舌を巻いた
読了日:2月14日 著者:野坂昭如
怪しいものたちの中世 (角川選書)怪しいものたちの中世 (角川選書)感想
中世の古典に出てくるエピソードを解説しているのですが怪しいというのが当時は巫女や夢の話。陰陽師に朴占などが平然と貴族社会の意思決定に入り込んでいる部分でしかも天皇の存在が時代によって軽んじられたり、南北朝からニセの天皇の親戚が現れたり昔も今も怪しい人とは多いものです。中でも詐欺の元祖ともいえる天竺冠者の存在は中世の怪しさを象徴する人物。博打打ちから徒党を組む人物に力を持っていると吹聴させ民衆を騙した結果、天皇に捉えられる話は面白い。しかも博打打ちと巫女というのは八卦の世界で表裏の関係で語られていたとは慧眼
読了日:2月14日 著者:本郷恵子
お金持ちになるための本お金持ちになるための本感想
Dr.榊原の本は2000年代前半頃に読んだけど至ってまともな企業分析の内容で個人的には随分と参考にさせていただきました。表紙のフェラーリとかの金満なイメージとは違って中身はすごくまとも。収入を増やしましょうというのと投資でお金に働いてもらいましょうというのもすごくオーソドックス。不動産投資の利回りの考え方はなかなかわかりやすいし投資の解説もそれほど進化はしていないですが機をてらっていないので好印象を持ちました。複業の勧めも起業までに至らないリスクヘッジもきちんと解説していたり信用取引も否定していて納得です
読了日:2月14日 著者:榊原正幸
客家(はっか)―最強の華僑集団 ルーツ・パワー・ネットワークの秘密客家(はっか)―最強の華僑集団 ルーツ・パワー・ネットワークの秘密感想
客家の存在を意識したのは先頃にいった台湾でのこと。客家料理というのがとても質素で食材を無駄にしないという話からとても生活が苦しかったというエピソードから。そのルーツを辿っていくと広東省の大浦あたりの山間部に北方から追われて移り住んだ人たちのことを刺すという。そのルーツからユダヤ人とも比べられるけどそのバイタリティゆえに中国人の強さの秘密を見いだしているのがこちらの本。実際に客家の人の里帰りにも同行しているのだけれど至って普通(笑)。むしろ貧しいが故のハングリースピリットがこの客家の強さの秘密なのですね
読了日:2月14日 著者:根津清
物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座 (アスキー新書)物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座 (アスキー新書)感想
物語の命題や共通項というのはほとんどジョーゼフキャンベルの神話の分類で言い尽くされているのですがそれを神話学の理論と結びつけて日本ならではの折口信夫の「貴種流離譚」や山口昌夫の周縁の理論なんかとで理由づけをしたりしていて中々にスリリングな議論でありました。
読了日:2月14日 著者:大塚英志
Tarzan特別編集 ストレッチ 本当に効くランキング 《完全版》: 100人のトレーナーが選ぶ症状別/部位別/スポーツ別 全149ストレッチTarzan特別編集 ストレッチ 本当に効くランキング 《完全版》: 100人のトレーナーが選ぶ症状別/部位別/スポーツ別 全149ストレッチ感想
トレーナーが選んだというフレコミ通り地味ながら効きます。それに尽きる。体が伸びる喜びったらない。
読了日:2月12日 著者:
ルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場からルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場から感想
宅配便同様、労働集約産業の最たるものであるコールセンター。日本では沖縄にかなりの部分が集まっているという実態に切り込みつつもその現場の様子を読んでいるとブロイラーの鶏舎を思い出してしまった。後半にはカルビーのようにお客様相談室を内製化している成功例も紹介しているがどこも定着率が悪く悪戦苦闘しているのが正直なところ。介護しかり日本のサービス過剰社会に対して著者の記者は疑問を呈しているがここでは感情労働という概念を紹介していて人とのコミュニケーションがいかにストレスになるかについて触れられているのが大きな収穫
読了日:2月12日 著者:仲村和代
触楽入門触楽入門感想
人間の五感の中で触感というのは意外と軽視されがちだということからその重要性や可能性について入門書的に解説したのがこちら。著者は触感を研究するグループのメンバーで現在では他者の感じる触感をシュミレートするような作品を開発したりしていて中々ユニークな活動をしています。著者の中でも触感が人間の生存に置いても重要な役割をしていることを先頃なくなった精神科医のオリバーサックスの患者の例や先天的に視覚を失っていた人が手術で開腹した時に目が見えるのかなどのエピソードで紹介していて認知や身体感覚にも繋がる話は驚きは多いな
読了日:2月12日 著者:仲谷正史,筧康明,三原聡一郎,南澤孝太
性のタブーのない日本 (集英社新書)性のタブーのない日本 (集英社新書)感想
橋本治さんの古典案内シリーズと勝手に思っていますが古典文学から当時の風俗や生活を語る作品はどれも深い考察と洞察があってとても好きな索引が多い。今回も同様。性という切り口で「交わい」と視線の「交差」が同じ意味を持つことだったりタブーはないがモラルはあるとする日本の性に対する認識について古典を題材に解説しています。中でも小柴垣草紙といわれる元祖春画について天皇が執筆したりと日本の性のありようはちょっと世界と違うし稚児草紙といわれるこれまた橋本さんならではのBL論も面白かったり。伴大納言絵巻の背景解説にも納得!
読了日:2月12日 著者:橋本治
溜池通信 いかにもこれが経済溜池通信 いかにもこれが経済感想
毎日、かんべえさんの溜池通信を読んでいるのでその総集編をしかも10年前ほどのものを読むと隔世の感もありつつ今の話に通じる「日本の失われた20年」を感じさせる不景気なテーマも満載で楽しめた。映画館の隣でずっと空いているテナントのエピソードはいつ読んでもほくそ笑んでしまう。クスリとさせるかんべえさんの真骨頂ですね
読了日:2月11日 著者:吉崎達彦
「こころの定年」を乗り越えろ 40歳からの「複業」のススメ (朝日新書)「こころの定年」を乗り越えろ 40歳からの「複業」のススメ (朝日新書)感想
著者によれば40ぐらいになると自分の老い先は会社での行き着く先が見えてきてすっかり老け込んでしまうことを「こころの定年」としつつそれを乗り越えることを考えましょう。会社以外の部分での自分の人生設計をしましょうということだ。これは会社員が一日の半分ぐらい費やしている会社での時間をのぞいた時にそれを埋める何があるのかという自問自答の本でもある。ここでは著者のように人事での経験を生かした本の執筆から始まり起業やボランティアや趣味…ちょっと前に週刊誌で読んだ森永卓郎さんの提言「アーティストになれ」を思い出したかも
読了日:2月11日 著者:楠木新
圏外編集者圏外編集者感想
とにかく「TOKYO STYLE」から都築さんの仕事ぶりは追っかけていますがようやくご本人の編集論とも言えるものが出た。本人曰くマニュアルはないというのは編集はそうで社員編集者とは違うフリーの矜持みたいなものが詰まっていて読んでいてパワーを感じるばかり。その変遷はマガハ時代から始まるが一貫してアナログな人と会って情報を集めてそれを取材していくというのは面白い。写真の素養もまったくないけどそれをOJT的に何でもやっていくうちにレイアウトしかり身につけていくというのは花森安治さんに通じる美学があっていいなあ
読了日:2月11日 著者:都築響一
人間は料理をする・下: 空気と土人間は料理をする・下: 空気と土感想
上巻もさることながら下巻はより食から環境や生態系までつながるストーリーてリングと取材で一気に読んでしまった。空気編は主にパンの製造にチャレンジ。いかに酵母菌を作るのか悪戦苦闘しつつパンと人間の歴史、そして精白粉の問題点や全粒粉と呼ばれる小麦の実態についても言及。さらに土編は酵母の話からチーズの製造の法律や大腸菌が発生しない自然の製法を巡るシスターと米当局のやりとりなんかも取材。それに当然ながらワインなどのアルコールや納豆などの食品もしかり。中でもチーズの腐るギリギリの異臭への人間と文化の関係など洞察も深い
読了日:2月11日 著者:マイケル・ポーラン
台湾の民族と文化台湾の民族と文化感想
日本統治下の台湾の原住民を調査していた日本の研究者3人による鼎談集。さらりと文中に出てくる当時の原住民の写真を見るだけでもほんの100年ほど前に暮らしていた原住民の生活の一端ぶりが垣間見える。征服者の研究者とはかなり違うイメージ。それでも霧社事件の「タイヤル族の反乱」の見方を否定しつつ当時の部族の分布や考え方についても言及。事件を起こしたマエボ社と他の部族の関係についても系統分類的に話していて深い知見に感激。部族によってはすぐ自殺する部族もあるとかフィールドワークから得た興味深いエピソードも多い。
読了日:2月11日 著者:宮本延人,瀬川孝吉,馬淵東一
1979年の歌謡曲 (フィギュール彩)1979年の歌謡曲 (フィギュール彩)感想
個人的にはこの頃って完全にベストテンとか森田浩一の青春ベストテンの時代ですね。そうした中でCMソングというヒットパターンが出てきたり、歌謡曲にアイドルにニューミュージックも百花繚乱だという視点でとらえたのでありましょう。ヒット曲の羅列でもありコード進行をメインにした楽曲解説ありと盛りだくさんです。表紙にあるようなジャケットの曲を懐かしめる人にはお勧めです!
読了日:2月7日 著者:スージー鈴木
プロレス 悪のアングル (別冊宝島 2431)プロレス 悪のアングル (別冊宝島 2431)感想
一貫したスタンスでプロレスの暗部を暴き続ける根性はここでも健在。中邑の移籍騒動とかはそれほど太いパイプがないみたいだけれどノアや全日系の話はダントツに詳しい。今回もノアのレフェリーの失踪騒動の顛末も突っ込んでかいていて逮捕の話まで出てくるとちょっと引いてしまいます。色々風当たりも強いようですが露悪的かつきっちり取材しているスタンスは応援したいです
読了日:2月7日 著者:
人間は料理をする・上: 火と水人間は料理をする・上: 火と水感想
良書。人間の料理の進化を火(焼くこと)と水(煮ること)空気(パン)と土(発酵)の世界に導く。前半の上は火と水。火の章ではバーベキューやッ豚の丸焼きの世界へと誘う。南部で黒人と唯一の交流の場であったバーベキューの歴史だったり、人類の人類たる所以を火に求め料理する人間が文化を築けたといったレヴィストロースの議論なんかを皮切りに幅広い議論と実践はとても深みのあるエピソードの連続。後半では玉ねぎなどの野菜を刻んだ肉とともに炒めて水を入れて煮るというシンプルでも料理の世界の広がりは煮物とともにあったという解説。見事
読了日:2月6日 著者:マイケル・ポーラン
台湾生まれ 日本語育ち台湾生まれ 日本語育ち感想
自分が日常的に使っている言語にはそのバックグラウンドにその使っている人々や祖先が育んできた文化や生活様式などが染み付いているということをしみじみと考えさせられる作品。著者は台湾に生まれて3歳から日本に育った女性。中学生になり改めて中国語を習い留学も経験する。しかし自分の育った国は中国語とは違う台湾語だったりする。でも一番使ってきたのは日本語であり身近な母親の話す台湾語。それぞれの文化が言語の中には含まれている。そして自分の母国は何か、そしれ母国語とは…。突然、作家の故・李良枝に影響を受けた話とか心に刺さる
読了日:2月6日 著者:温又柔
男だけど、男だけど、感想
男性だけど自分の内面にある女性性にクローズアップしたエッセイ集。かわいいものなんかに惹かれる心情を自分の中のOLという設定にしたりするのだが、30代の著者の割にはバックパッカー風に様々な海外での珍道中なんかがあったり放送作家だけあって言葉選びのセンスが宮沢章夫さん風というか一人ぼけつっこみの様相もあったり装丁のイメージよりも年配にアピールする内容であるかと思った。中でも昔ブームになった自分の人生がすべて記録されているというアガスティアの葉を探しに出かけて占ってもらうシーンはなかなかの筆力。冷静な分析も共感
読了日:2月6日 著者:ワクサカソウヘイ
アートディレクションの「型」。: デザインを伝わるものにする30のルールアートディレクションの「型」。: デザインを伝わるものにする30のルール感想
電通から独立したホッチキスの水口さんのアートディレクター論。実はちょっと気になっていたクリエイティブの守破離を体験的に語っていて些末なことの積み重ねと成功体験の連続につきるのだなと思った次第。結局、過去の文脈をいかに繋げつつそれを多くの人に提示して驚かせることでクライアントの問題解決に繋げるということを丹念に解説しています。正直、ここまで手の内を明かしていていいのかしらと思いますが、手順ではなくどこまで愚直にできるのかというのを一流のクリエイターのエピソードを読んでいくとわかります。細部に魂が宿るも納得。
読了日:2月6日 著者:水口克夫

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posted by nizimasu at 07:57 | TrackBack(0) | BOOKS
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