2015年06月07日

2015年5月の読書

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5711ページ
ナイス数:209ナイス

神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)感想
この本の神道の解説は本当に色々なことに目を開かされる貴重な本だ。とかく、神道は明治以降は国家のアイデンティティとして、また日本人の心象風景としての神道もある。その一方で、そもそもは神道以前の神祇信仰の自然崇拝の側面もある。それをどうしても一緒くたに考えてしまいがちだが、神道は歴史的な段階でそれぞれ別のフェーズがあるのをこの本は示している。それは、もともと日本の共同体の持つ自然への恐れから、仏教との参照としての神道、そして儒教と結びついてのモラルの部分に、国家の国体としてなどを示す分類で目から鱗の連続でした
読了日:5月28日 著者:伊藤聡
努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本感想
なんで脳科学が「努力論」について書くのかと不思議に思ったのが、そもそも日本の社会に蔓延する「努力主義』といわれるものが、日本人が明治の文明開化の時代に、欧米化を進めた際の金科玉条になっていたことから問題提起が始まる。そこにあるのは、戦争に駆り出す、あるいは組織に忠誠を誓うと行った際に用いられる努力という言葉のある種の気味悪さだろう。それは著者も再三警告していて、AKBの発言からも努力の大切さを説くと、さんまがミスリードだとちゃかす場面を紹介しているが、この視点は市井の民衆には必要な視点だと思うのだ
読了日:5月28日 著者:中野信子
小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)感想
この本で改めて料理研究家等のはきわめて新しい職業でありつつ今や主婦の憧れではないかと思うほど家庭における料理のありようが変化したというのを実感させられる本。もともと戦後の中で主婦の位置づけというのは家事労働の担い手という部分から始まり核家族の誕生などその形態とともに、西洋料理の紹介や家庭料理の伝承そこから小林カツ代の時短レシピという時間に追われる主婦のための料理研究に至るプロセスを時代の寵児だった料理研究家の足跡とともに紹介する意欲作できわめて詳細な時代背景の中でいかに料理がエンタメ化しているのがわかった
読了日:5月27日 著者:阿古真理
古←→今(むかしといま) 比べてわかるニッポン美術入門古←→今(むかしといま) 比べてわかるニッポン美術入門感想
改めて日本の現代アートが過去の作品との関連性の中で生まれているというのが、見事に比較ということから見えてくる書籍。いわゆるモチーフだったり索引そのものだったり、見立てといわれる作品の背後にあるテーマ性からの借景だったりここまで分析した作品解説は編者の和田さんの手腕によるものが大きかったのだろう。時間軸を感じさせたり写実ではないデザイン感覚や、見えないものも描いてしまうその精神性や二次元的な世界観の構築は本当に唯一無二でそこから考えさせられるのはこの本で再三出てくるレヴィストロースの日本観に通じるものがある
読了日:5月24日 著者:和田京子
セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業感想
この本自体にはまとまった解答みたいなものはないんだけど、それぞれのエピソードから人間のセックスの衝動や相手の選択が非常に合理的かと思とそうでもない行動にでるという身もふたもない結論にいきつく。ただ最後にこの本で著者も触れていたが、人間の性衝動が実にマクロ経済に大きな影響を受けているという点だ。社会の貧困と出生率なんかもそのひとつだろうし、一夫一婦制の経済的な合理性や幸福感との相関関係や不倫もそうなのだろう。そう考えると人間の体の声だったり経済との連関だったり自己選択しているものの多くは環境の作用なのですね
読了日:5月24日 著者:マリナアドシェイド
人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた感想
これはまさに40代から50代の文科系男子が誰もが通った世代感ですね。みうらじゅんさんのいうサブカル世代そのものをプロレスとオカルトに置き換えた対談集。むしろ、プロレスは少なめで矢追純一やムーの世界を縦横無尽に語り尽くします。その後のザインやオウム真理教についても言及していて、ある種のオカルトが行き着いた感までしゃべっているのはなかなかないのではないかな。いわゆるオカルトはあくまで笑いの延長線上にあるという感覚はこの人たちならではで面白い。つまり、真に受けてしまっては身もふたもないというのがよくわかります
読了日:5月24日 著者:大槻ケンヂ,山口敏太郎
目でみる仏像目でみる仏像感想
仏像の種類を知りながら、その歴史的な変遷も学べるのが、この本のいいところ。最初に釈迦如来から始まり、浄土、そして密教へと連なる仏像の流れを概観しつつ、如来に、菩薩、八部衆とかその立ち位置なんかも抑えてくれるのが参考になるかな。よくよく考えると、仏教美術の本は入門書のような薄い本を読んでいたんだけど少し大変でも最初から体系だった本にせっせておくと後からものすごく、色々な気づきがあることがわかります。気づきというのは、こういう大著が手元にあるといいなあと思ったりもして本の感想とは違うけどある意味ものすごい良書
読了日:5月14日 著者:田中義恭,星山晋也
写真を仕事で使うための基本と実践手帖 〜仕事で写真に関わる多くの人へ。〜写真を仕事で使うための基本と実践手帖 〜仕事で写真に関わる多くの人へ。〜感想
なかなか人には聞けないレベルの超初心者向けの内容でどちらかというと、ウェブでのショップ展開とか考えている人向けなのかな。個人的には色調補正の簡単な部分を知りたかったのでこれでも十分にお役立ちしました。
読了日:5月14日 著者:WINDYCo.
大黒柱マザー大黒柱マザー感想
小島慶子というどちらかと言えば、地味なアナウンサーが脚光を浴びたのが、ラジオの帯番組。それから女子アナをやめて、ラジオも終了してとそのジェットコースターのような生き様はフリーランスならでは…と思っていたんだけど、ここからまさかの夫の失業宣言。そこからオーストラリアの移住というのは、逡巡しながらもその勇ましいまでの勢いというのが素晴らしい。要所要所に夫に対する不満の言葉が垣間見えるのだけれどそれがかなり激しいのでこの人はやっぱり怖いと思いつつ、その発端となったダンナの無邪気さと献身ぶりはやっぱりお似合いかも
読了日:5月14日 著者:小島慶子
密教アート入門 (ちくま新書)密教アート入門 (ちくま新書)感想
入門書かと思ったらかなりハードルの高い本でした。とはいえこの本でもせつめいにあるように「密教」というのは、だれにでもわかるものでなくその修行の中で、宇宙の原理である大日如来との一体化をめざすというもので、曼荼羅や仏像と言ったものもそのための装置のひとつであるという部分は、言われてみると確かにそうだ。その曼荼羅が持つ世界観は何の経典によるものなのかと言った教義的な部分も解説しつつ身体修養としての加持祈祷や仏像の役割、空海の空間や寺院配置なども曼荼羅の世界観の再現であると言った指摘もあり興味深い。難しいけど…
読了日:5月14日 著者:真鍋俊照
1964年のジャイアント馬場1964年のジャイアント馬場感想
著者の柳沢さんと言えば、猪木の評伝でも緻密な取材に定評があったんだけど、今回ばかりは資料の引用が多くてちょっと残念。馬場さん自体がお亡くなりになっていることもさることながら週刊誌の連載というスタイルと、なんとなく予算的な部分がネックになっている気がした。それでもやはり個別のエピソードの深堀りな取材は健在だしあっという間に読んだのだけれど…。アメリカでトップレスラーとしての馬場についてはもうちょい直接的なコメントやエピソードが欲しかった。そうしないとジャイアントなスケールはなかなか語り尽くせないのではないか
読了日:5月9日 著者:柳澤健
読書で賢く生きる。 (ベスト新書)読書で賢く生きる。 (ベスト新書)感想
歯に衣着せぬとはこのことと言えるほど、痛快な本であります。とにかくビジネス書のベストセラーも著書もメッタ切りしますが悪い気はしない。それはそれぞれの著者がきわめて優れた読書の達人ということがいえるからだろう。そのオチは「常識人たれ」という松下幸之助や7つの習慣の結論を読むにつれ、そうかと膝をうつ次第。そうなのだ、ビジネス書というのは不安の処方箋や気休めの役割があるのだなあと改めて思いました
読了日:5月8日 著者:中川淳一郎,漆原直行,山本一郎
芸能入門・考 -芸に生きる- (明石選書)芸能入門・考 -芸に生きる- (明石選書)感想
俳優の故小沢昭一さんが80年に出版した芸能に関する論説や講演をまとめたもの。小沢さんと言えば日本の放浪芸などの芸能の原点をたどる著書や記録物などのフィールドワーク的な功績も大きい。そうした中で知り得た被差別と芸能の重なり合う歴史をかなり突っ込んだ話をしている。その背景には日本が終戦を迎えこれまでの価値観が一変した事情も重ね合わせる。日本の戦後が唯一文化国家であった時代だとのべる小沢さんは権力に追従しながらと舌を出す芸能もの虚実ないまぜの生き方に自分の指針を定める。それがエロ事師としての真骨頂でもあったのだ
読了日:5月8日 著者:小沢昭一,土方鉄
“東洋の神秘"ザ・グレート・カブキ自伝 (G SPIRITS BOOK)“東洋の神秘"ザ・グレート・カブキ自伝 (G SPIRITS BOOK)感想
今年で引退する天龍がことあるごとにべた褒めしていたのがカブキこと高千穂明久のことだった。それは人間的にもプロレス的にもだ。そんなカブキの自伝というのは力道山死去後の波乱の日本プロレスに入門したことから苦難の連続だった。しかしアメリカに自分の新天地を求めトップレスラーとして日本に逆輸入されたあたりは痛快。当時のアメリカのリング界やジャイアント馬場との銭闘などもフリーの一匹狼としての自負が感じられる。個人的には企業秘密と書いてあった毒霧の秘密も知りたかったけどそれを差し引いても昭和のプロレスファンには懐かしい
読了日:5月8日 著者:ザ・グレート・カブキ
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)感想
おそらく、映画論や美術論や意味論なんかの学問的なジャンルでは答えが出ているのかもしれない。人は何に感動して、どうやってコンテンツを選ぶのかということや、情報量とは何かということについても、ジブリの鈴木さんの丁稚奉公をしながら思索していた内容をつまびらかにする。この思索の遍歴がやっぱり映画監督やクリエイターのそれではなく、プロデューサーやITで言うプラットフォームの視点から考えをのべていく。でもやっぱりこの人の才人ぶりはいうまでもなくなかなかコンテンツを扱う人なら納得できる議論が多かったのが収穫でした。
読了日:5月4日 著者:川上量生
アートにとって価値とは何かアートにとって価値とは何か感想
これだけきっぱりとした現代アートと日本のおかれているポジションについてきっちり解説している本はないだろう。それはミヅマギャラリーという日本の現代アートギャラリーの御仁が書いた故の本だからだ。それだけに、ちょっとした自慢や耳が痛い日本人への皮肉めいたこともちょいちょいカアをのぞかせるが、身銭を切ってアートと向かい合ってきたその自負と身体言語にはヒレフするほかないだろう。多分、村上隆さんなんかとすごく共通する部分も多くて、直接的ではなさそうだが薫陶を受けているような気がします。日本にはアートよりガッツが必要
読了日:5月3日 著者:三潴末雄
ハリウッド白熱教室ハリウッド白熱教室感想
端的に言えば映画の要素である脚本や映像のライティング、音響や映像の編集などを因数分解してどのように展開していくと、映画として心理的にどう映るかという文脈を明らかにする本で、NHKの放送を知らずに読んだらあまりの面白さにうなってしまった〜。いわゆる映画評論ではなく、あくまでも映画の文脈や成り立ちみたいなもの、さらにはプロデューサーや監督の意図を知る上では最高のテキストではあるまいか。この本を読んでしまうと、ちょっとした映画の蘊蓄などが白々しくなってしまう。文脈をきちんとつかむというのは、何よりも大事だと実感
読了日:5月3日 著者:ドリュー・キャスパー,NHK「ハリウッド白熱教室」制作班
ラクガキノート術ラクガキノート術感想
ラクガキノートの効用というのは、一般的にプレゼンのために使うという意味が多い。特にサトウオオキさんとかそうだけど、こちらはどちらかというと、自分の中のアイデアの蓄積や思考のツールとしての使い方がメイン。でもやっぱりどうせならうまくかけた方がいいよね的なノウハウが満載で、こういう本を読むとつい真似してノートに賭けるのが楽しい。自分の中で、おえかきのちょっとしたリラックス効果は大きいと思うばかり。リラックスすればアイデアも浮かぶ。その点でもイラストは侮れないというのが結論でしょうか
読了日:5月3日 著者:
アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話感想
アートディレクターの森本千絵さんと言えば個人的には圧倒的にミスチルなんかのジャケットのイメージ。その世界観そのものや絵心は、やはり森本さんのオンリーワンの世界。自分で博報堂から独立してその仕事のノウハウやルーティンの持ち方など本当に参考になる。自分の内面を赤裸々に表現していてつくづくアーティスト気質の高い人なのだなと思う。しかも震災や結婚を通じてここ数年感のマインドの変化に突いても言及していてデザインが商業の部分からかなり離れているのが文章の端々から感じられて今後どのような形になっていくだろうか
読了日:5月2日 著者:森本千絵
アイデアが枯れない頭のつくり方アイデアが枯れない頭のつくり方感想
この人の発想法は、いわゆる「コンサル」なんかとかに近いのかな。思いつくまま、「A×B」をあげていくというスタンスで、Aを固定化してどんどん広げていく。そのBの思いつき方にもコツがあって連想法などを駆使していくという話で、書籍にはなっているけど、実際には10ページ程度の内容。しかも安直という意味ではなく、このメソッド自体がシンプルなのもいい。ある種のきちんとしたアイデアは1000に1個ぐらいという割り切り方が、このアイデアが枯れないの一番の要諦だと思います
読了日:5月2日 著者:高橋晋平
できる男は不倫するできる男は不倫する感想
雑誌のゲーテはあんまり好きではないのだけれど、この連載のマンガに出てくるハゲ係長の昔くさいバブル親父の成れの果てみたいな感じ(マンガではブチョーいう名称)がとてもおもしろい。ちょっとホイチョイになりきれない不倫のすすめのような本だけど、ブチョーの哀愁に救われている気がします。結構楽しい
読了日:5月2日 著者:松岡宏行,高橋潤
進みながら強くなる ――欲望道徳論 (集英社新書)進みながら強くなる ――欲望道徳論 (集英社新書)感想
19世紀のフランスの造詣が深い鹿島先生のある種の幸福論。仕事論では借金を返すために仕事を受けろといわれ、受けているとその内に消耗して行き詰まる。そこでアウトプットしながらインプットする必要があるといいつつ、ジャンルをずらす。同じ注文を少しアレンジすることで自分の盤石さを拡張していくという試みだと言う。その一方で、日本人論についてはエマニュエルトッドの家族論を展開する。日本は分類によれば直系家族という系譜で日本は海に囲まれた大家族であるというのが著者の日本人論である。しかし現代の日本は疑似直系核家族だと言う
読了日:5月2日 著者:鹿島茂

読書メーター
posted by nizimasu at 18:09 | TrackBack(0) | BOOKS
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