2015年10月10日

2015年9月の読書

2015年9月の読書メーター
読んだ本の数:40冊
読んだページ数:9329ページ
ナイス数:326ナイス

観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ88観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ88感想
このシリーズも段々先鋭化されてきていまして何の作品やらわからないマニアックなものも多くなりました(笑)。それでも各々の語り部が思い入れたっぷりに語る作品はかなり古い70年代以前も多いけどつい見たくなる作品がありますね。中でも新藤兼人の絞殺とか、謎の邦画「世界大戦争」とか気になる。あとオダギリジョーが渡辺文樹のザザンボ紹介していて確かにトラウマ映画だわいとうなるがちょっと狙いすぎかななどと突っ込みを入れつつあっという間に最後まで読み切ったぞい。次も期待
読了日:9月23日 著者:園子温,西村賢太,二階堂ふみ,水道橋博士,高橋ヨシキ,柳美里,宇多丸,オダギリジョー,立川志らく,みうらじゅん,能町みね子,他
認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾感想
ウェイ・ダーシェンが監督した「セデックバレ」がきっかけ。その後も「KANO」とか日本の統治時代の作品も撮っていて台湾でもヒットメーカーになっているらしい。台湾の映画は彼の「海角七号」までほとんど「国片」(国産)の映画というのが注目されなかったというがそれでも近年になりアイデンティティを巡る作品やドキュメンタリーもかなり生まれているという実態を元台湾の支局に勤めていた特派員が書いていく。その筆致は冷静ながらも台湾好きなのがつくづくわかる。最後に作品紹介もあるが日本でDVD化されている作品が少ないのが残念至極
読了日:9月20日 著者:野嶋剛
向田邦子の遺言 (文春文庫)向田邦子の遺言 (文春文庫)感想
個人的に好きな作家である向田さんが生前に「遺言書」を残していたとは知らなんだ。その中身もさることながら家族についてあれだけ忙しいながら思いを馳せていた向田さんの人間臭さはご本人のエッセイよりも妹さんの和子さんの書かれたエッセイから感じられる。遺産の額も適当だったり目録の違いに愛猫への思いとか面白くてあっという間に読み終わる。向田さんの代表作に修羅のごとくがあるけどご本人も長年の不倫に闘病などの修羅を抱えながら生きてきた集大成ともいえる遺言に向田さんの生き方や始末みたいなものの哲学が感じられて清々しくもある
読了日:9月17日 著者:向田和子
カメラを持て、町へ出よう ──「観察映画」論 (知のトレッキング叢書)カメラを持て、町へ出よう ──「観察映画」論 (知のトレッキング叢書)感想
実はちゃんと想田さんの作品は見ていないんだけどドキュメンタリー好きには気になる存在。そんな氏が講師となってドキュメンタリーの作り方をレクチャーする内容。実際の講義からのまとめになっているので読みやすいしカメラの撮り方から編集まで独立してドキュメンタリーを撮り続けるためのノウハウや具体的なコスト計算に宣伝の方法までも惜しげなく紹介しているのには驚かされる。デジタル革命についてはついネガティブに考えてしまうのだけれどこうした小予算で思いの丈をぶつけられる作家はなかなかいないし実に頼もしい。早速DVDも借りよう
読了日:9月17日 著者:想田和弘
日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫)日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫)感想
同時期に復刊された「神秘日本」と対になるような作品。日本の土着の美を探る旅のはずがそこから見える変節してしまった日本の地方のありようを嘆いたりお茶を巡る堂々巡りのような議論に嘆息してみたりと岡本太郎さんの芸術に対する思いがほとばしる一冊。なぜこんなに辛辣で憤っているのか。不思議に思うのだが西洋美術のコピーでしかない日本の現代美術界に劇薬を投じてやろうという野心が垣間見える。だがそこにはむしろ形骸化した縄文の伝統があるばかり。それでも秋田から長崎まで尋ねる原動力こそ芸術に他ならない。日本論としても秀逸
読了日:9月17日 著者:岡本太郎
この年齢だった!この年齢だった!感想
女性のエッセイストの作品に興味津々でいよいよ酒井順子さんに。もっぱら週刊現代の連載は読んでいたけど今回の本ではいわゆる有名な女性の人たちの人生の転機や死の時期がいくつだったかというテーマからそれぞれの人生を考察するのだけれどベースにある「負け犬」ではないけど市井の人の視点からスターや偉人を仰ぎ見る感じが嫌みではない穏やかな文章が人気の秘訣なのでしょう。与謝野晶子の「君死にtまおうことなかれ」が23歳なのは驚きだけど百恵チャンの21歳での引退にギャフン。ダイアナが35歳で死んじゃったのと驚きの連続でした
読了日:9月17日 著者:酒井順子
河鍋暁斎絵日記: 江戸っ子絵師の活写生活 (コロナ・ブックス)河鍋暁斎絵日記: 江戸っ子絵師の活写生活 (コロナ・ブックス)感想
三菱一号館で見た河鍋暁斎の展覧会を見てほれぼれしまった。その多様な作風もさることながら弟子のコンドルの書いた河鍋暁斎の人となりに惹かれたのも事実。そして詳細な絵日記も書いていたのを知る。他の人も指摘していたがこてをみて即座に山口晃のすずしろ日記ではないかと時系列的には逆だけど思ってしまった。ちょっと図版が小さめなのでその書いてある内容をつかむことは難しいけど全体像がわかるだけでも楽しい。ものすごく多作な画家さんで人気もあったみたいでお金の出し入れも書いてあったり几帳面でもあるし考現学的な部分も微笑ましい
読了日:9月17日 著者:
まちがいだらけの教えはいらない ほんとうの宗教とは何か 白の巻まちがいだらけの教えはいらない ほんとうの宗教とは何か 白の巻感想
後編である「白の巻」では世界宗教であるキリスト教やイスラム教などのそれぞれの特徴を概説。個人的には神道の解説においての「民衆神道」と「国家神道」という区分になるほどと膝を打ってしまった。さらには本居宣長の「カミ」を優れたものとする解釈についてもアミニズムや怨霊さらには人為的な御柱などの神を包括した説明としては中々秀逸だなあとコンパクトながら気づきが多かった。仏教が日本に来たことで神道が「見えるもの」として対照化したことも理解が深まる。儒教と道教の話も「君子」と「小人」(庶民)の宗教という区分もわかりやすい
読了日:9月16日 著者:ひろさちや
宗教心を失った日本人のための ほんとうの宗教とは何か 青の巻宗教心を失った日本人のための ほんとうの宗教とは何か 青の巻感想
常々疑問に思っていたテーマなので興味深く読まさせてもらった。正直、2冊に分けているのは出版社の売らんかなな感じで好きではなかったが内容は折り紙付き。中でも道徳と倫理さらには宗教の違いについて論じている部分については納得。道徳を為政者が弱いものを痛めつけるものというのは昨今の国会の議論なんかを見ていても腑に落ちるものがある。倫理と宗教もしかり。実は自分の日々考えているのは「生活の問題」で「人生の問題」ではないなと思ったり宗教的な事柄も実は倫理だったりと何だか色々なものがクリアになった気がするのは気のせいかな
読了日:9月16日 著者:ひろさちや
快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか感想
「人間は快楽を求めて生きているのではないか」と思わせるほど、その快楽に繋がるルートは実に様々だ。薬物、アルコールはもとより高カロリー食にSEXにギャンブル、慈善行為に痛みなんてのもある。ランナーズハイに瞑想…何でもアリだ。つまり人間は他の動物と違い多様な快感を身につけた生物といえそう。そこには耐性という罠がある。そして依存する。ランナーズハイにはなかなか辿り着けないというハードルもある。この快楽という人類が獲得した多様な体系こそ煩悩の根源を感じるばかり。それが活力源になっているのも確かで興味深いテーマだ
読了日:9月16日 著者:デイヴィッド・J・リンデン
けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然感想
「ぼくは猟師になった」の著者の新刊。今の社会の中で猟師の存在はそれほどクローズアップされることはないがシビエ料理が注目されるなどにわかに話題。でも完全にその生き方のありようは自然との共生に他ならない。共生といっても結局は生きるために鹿などの害獣を撃ってさばく。その種類は昔の日本は思いのほか多かったようだ。そんな自然と隔離された人間の世界で猟師というのはまるで原始社会の精霊のように二つの世界を行き来する存在といってもいいだろう。今の世界とは窺い知れない自然との交流みたいなものにとてもシンパシーを感じる良書
読了日:9月15日 著者:千松信也
眼の疲れをとる本―眼精疲労を防ぐ・治す (健康ライブラリー)眼の疲れをとる本―眼精疲労を防ぐ・治す (健康ライブラリー)感想
ちょっと古い本ですけど点眼に含めてマッサージの効用とかもきちんと解説していてこれがとてもよかった。あと実際の治療でも目の周りを温めたりするのだけれど試しにやってみたらあまりの心地よさにそのまま沈没してしまいました。その翌日の爽快さといったらなかった訳で自分の目の疲れの原因が見えてくるいい本でした
読了日:9月15日 著者:坪井隆
身体で考える。身体で考える。感想
空中浮遊というとオウムの影響もあってかなりオカルトの世界のイメージなんだけどその実践者でもある成瀬先生が圧倒的に信用できるのはひけらかさないこと。その背景にあるヨガというものが身体技法であり「身体を伸ばすと気持ちがいいでしょ」から始まりハタヨーガの世界を極める脱力した感じも武道の達人に通じるものがあります。当然、聞き手に徹している内田さんも言わずもがなの身体技法には一家言ある人なのでとにかく面白い。身体がとか霊性の問題まで及んでいてシテの安田登さんとの対談の延長線上にあってこういう言論の流れもあるのが痛快
読了日:9月15日 著者:内田樹,成瀬雅春
ばんざい またね (一般書)ばんざい またね (一般書)感想
欽ちゃんの本って大体読んでいるので目新しい感じはないけどこの運の話や持論の「遠い」の話は何度読んでも面白い。しかし、このタイミングで欽ちゃんは明治座の舞台の引退に駒沢大学の入学もあった転機でもあった。でも欽ちゃんは飄々としている。そして老年に差し掛かっている故の余裕かと思いきや既に週間100%の視聴率競争から降りて以来ある種の境地に陥っていることが気づく。それはプレ老後みたいな趣でそこで生きる知恵みたいなものを十分に吸収しているような気がする。何という貪欲だし運の持ち主が時代を切り開くという話も好きだなあ
読了日:9月15日 著者:萩本欽一
どん底営業部が常勝軍団になるまで (新潮新書)どん底営業部が常勝軍団になるまで (新潮新書)感想
営業のコンサルタントの著者とは思えないほど惜しみないノウハウの数々を北海道のコープの営業でのケースを紹介しつつその手順も公開している。それにしても至ってシンプルな構文なれど人一倍ビジネスの中でも人間臭いセクションが営業な訳でその浪花節や嫉妬の世界を軽々と乗り越える胆力が必要だなと思わせられる。それは再生機構で活躍した富山和彦さんの著書でも感じたがより実践的な内容ではこちらに軍配が上がる。人を動かすには具体案とそれにそった協力者の醸成が欠かせないのだなあと痛感させられます。ドラマになりそうw
読了日:9月14日 著者:藤本篤志
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)感想
サトナオさんの指摘する「砂一時代」というのはネットビジネスに携わったことのある人であればものすごくピンと来る話でそこではやはりファンベースのビジネス、あるいは口コミ力を利用するかという話でそれはなるほどと思ったんだけど、その一方にあるマスビジネスがいまだに日本の人口の半分はそうであるというのは昨今の出版事情でも又吉の火花のようなヒットや音楽業界のメガヒットのありようとも重なっていてむしろネットのスモールビジネスのありようとさらにはマスの両面を考えないといけない時代なのだなあと思った次第。これは厳しいなあ〜
読了日:9月14日 著者:佐藤尚之
70年代シティ・ポップ・クロニクル (ele-king books)70年代シティ・ポップ・クロニクル (ele-king books)感想
ちょうど松本隆さんのコンサートに行った後に読み始めたから、はっぴいえんどからの日本のロックだったりこの本のシティポップなんかの記述は往時のリアルタイムなレポートとしてもとても楽しく読めた。今の時代もCEROとかの若い世代のシティポップの回帰があるけどこのあたりも日本の音楽を考えていく上では避けて通れないしまあ大瀧詠一と細野さんの狭間で生まれた何もかもの影響はなかなか避けて通れないほどの充実ぶりを70年代の音楽から感じる。それでも最後にサザンを健太さんがあげているのは単なるノスタルジーじゃなのもバランスいい
読了日:9月13日 著者:萩原健太
これでいいのだ!瀬尾ごはん: 台所まわりの哲学 (ちくま新書)これでいいのだ!瀬尾ごはん: 台所まわりの哲学 (ちくま新書)感想
玉子かけご飯にバターというシンプルな表紙にすっかりやられたのですが、前半に出てくるレシピはレシピというより「これって料理?」と思えるようなものばかり。タマネギを焼くだけ、焼き椎茸に醤油たらすとか…でもそれでも十分に美味しいというのもビジュアルで納得。ハレのご飯はさておき、普段のご飯は気楽に作ろうよというのがよくわかる。あと個人的には煮物の作り方もシンプルでうれしい。砂糖と醤油を1:2で調整する。それでアジが決まるなんて素敵すぎるアドバイスだ。かなり時短もできそうで色々アイディアがわいて出てくる限りだ
読了日:9月13日 著者:瀬尾幸子
ヒップホップ・ドリームヒップホップ・ドリーム感想
これほど赤裸々なノンフィクションはないな。新宿で育ったラッパーの幼少期から現在に至るまでのストリートに生き続けてきた生き様を隠すことなく書いている。まさか所属レーベルのトラブルまで核とは思わなかったが、ストリートビジネスという名の運び屋家業にも精を出していたかと思えばヤクザにだまされて追い込みをかけられたりDABOとのビーフについても詳細に言及していてヒップホップのリアルって何ぞやと思う人にはものすごく刺さる内容です。それにしてもここまで潔い内容にはつい感銘を受けた。この意地の張りようには拍手を送りたい
読了日:9月12日 著者:漢a.k.a.GAMI
絵かきが語る近代美術―高橋由一からフジタまで絵かきが語る近代美術―高橋由一からフジタまで感想
菊畑茂久馬さんが江戸の末期から戦後の藤田嗣治までの洋画の歴史を講演した内容をまとめた本。鮭で有名な高橋由一の重要性をとくとくとのべていて日本の呪詛的なおどろおどろしさや土着性に着目していてその稚拙さを西洋絵画の歴史とは違うものとして評価しているのが面白い。確かに花魁という初期の代表作はとてもこの世のものとは思えないある種の畏怖が感じられるしその前史として平賀源内や司馬江漢も取り上げる一方やはり戦争画についていち早く着目していて藤田へのいわれなき戦後の非国民扱いも嘆く。こうした美術の見方がもっと広まるといい
読了日:9月12日 著者:菊畑茂久馬
いちばんよくわかる集団的自衛権いちばんよくわかる集団的自衛権感想
これは良書。集団的自衛権は安保法制に帰結しやすいが、それを国際的な視点で日本の特異性に触れているのがこの本の特徴。安倍の安保法制懇にも参加していただけあって、理屈としての集団的自衛権の必要性についてはなるほどよくわかる。しかも国連憲章51条でしか世界的に集団的自衛権について定義している部分はない訳で現在の安保法制の実務運用が求められている時期に来ているのだと思う。一方日本では81年政府答弁による集団的自衛権の違憲解釈が金科玉条のように用いられている現状にも言及。さらには72年資料による正当性も主張している
読了日:9月11日 著者:佐瀬昌盛
日本離島防衛論―島嶼国家日本の新国防戦略日本離島防衛論―島嶼国家日本の新国防戦略感想
安保法制の議論が花盛りですが、元自衛隊の人が書いた防衛論。3700もの島がある日本においては離島などの防衛が重要であるというのは当然のこと。さらには離島の無人島かを防げといった提言は九州の離島出身者の視点としてユニーク。結局地政学的にロシアにとっても中国にとっても朝鮮半島にしても太平洋に出るためには日本の領海ひいては日本列島がふたをしている訳でそこに対してプレゼンスをもちたいという野心が働いているというのは皮膚感覚的に日本人もわかった方がいいと思う。そしてそれに対応した国防が問われているということのようだ
読了日:9月11日 著者:福山隆
出家的人生のすすめ (集英社新書)出家的人生のすすめ (集英社新書)感想
この本では上座と大乗に分かれる以前の仏陀の教えがどういうものであるかというのを解説する。そこからサンガという出家者の集団の生活とそこには律というルールが存在しそうした生活の中で、人生の規範を見直していくという一連の行動について、その足跡をたどっている。翻って現代社会では出家はできるものでなくとも出家的に生きることはできると著者は説く。それは人生を他力本願でなく生きること。脇目をふらずに生きること。ニートにしても出家的であると著者が好意的に評価しているのも面白い。生産的であれという呪縛から解かれるのもいいな
読了日:9月9日 著者:佐々木閑
儲けを7倍にする企業WEB戦略の鉄則 (経営者新書 141)儲けを7倍にする企業WEB戦略の鉄則 (経営者新書 141)感想
ちょっと大げさだけど、WEBビジネスをこれから始めたい人向けの入門書。とはいっても基本的なスキームの話が中心なので最終的には、コンサルやいい制作会社を選びなさいというオチになるのが若干腑に落ちないけどいいか…
読了日:9月9日 著者:志水雅眉
生誕100年 写真家・濱谷浩生誕100年 写真家・濱谷浩感想
浜谷さんの存在を知ったのは最近のこと。終戦の日に新潟のお寺の境内で撮影した太陽の写真がインパクトが大きかった。戦時中にはプロパガンダの雑誌「FRONT」なんかにも協力していたが厭戦的な気分から新潟に引っ込んで作品を撮り続けていたらしいのがわかった。その後はマグナムなんかでも活躍するんだけど今回の写真集は戦後から高度経済成長までの日本の雪景色や原風景が中心。最近読んだ岡本太郎の本の写真にも似た土着としての日本が写し出されていてほんの70年前の日本って今とは隔世の感すら感じる。写真家の優しい視線が印象的
読了日:9月9日 著者:濱谷浩
知識ゼロからの肖像画入門知識ゼロからの肖像画入門感想
木村先生の本は文章の背後に圧倒的な美術史的な知識が満載で、ある種の美術家のゴシップ的なエピソードや時代背景を知ることができるし最新の知見を知ることができて毎回はっとさせられることが多い。この薄手の入門書でも一切の抜かりはありません。さりげなくモナリザのモデルがわかったり、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のモデルにも言及。さらにダビンチの洗礼者聖ヨハネの素描に男性器が描かれていたりとイチイチ気になるトピックが満載でありました。いつになく取っ付きやすい本であっという間に読んでしまったというのは大げさでない
読了日:9月9日 著者:木村泰司
ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書 467)ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書 467)感想
ノーナの西寺さんとはほぼ同世代だからこのWe Are the Worldをリアルタイムで経験しただけに、この本の中に書いてあることがスゴくイメージできるのですが、確かにこのタイトルにあるようにこのプロジェクトに参加した人たちのその後の人生やセールスを考えるとピークアウトしていくというのは音楽産業の栄枯盛衰とも重なるのも納得であります。やっぱりモータウンの動向やマイケルの苦悩なんかも織り込まれていて読み物としても面白く読めます。そこであえてポインターシスターズに注目するあたりも郷太さんの目のつけどころが素敵
読了日:9月9日 著者:西寺郷太
日本のロック名盤ベスト100 (講談社現代新書)日本のロック名盤ベスト100 (講談社現代新書)感想
この手の本ってありそうでなかったというのは誰しも指摘するところ。あと個人的な体験がベースになっているものでどうしても順位はそれぞれの人にあるものだなあと思うもの。個人的には80年代のソニーやEMIの名盤の数々というのが少ないし、渋谷系といわれるものの評価が高いなあというのがあるがそれは別にいいでしょう。後半に日本のロックの通史でこれまた読み応えがある。この本の特徴は特定のアーティストが、音楽のイノベーションともいえる現象に繋がっている文章の構成ではっぴいえんどにキャロルに清志郎とか思い入れもたっぷり(笑)
読了日:9月9日 著者:川崎大助
「身体」を忘れた日本人 JAPANESE, AND THE LOSS OF PHYSICAL SENSES「身体」を忘れた日本人 JAPANESE, AND THE LOSS OF PHYSICAL SENSES感想
安心の養老先生ですが今回はCWニコルさんとの対談集。森の話から福島の話。そこから日本の森の話から身体論、文明論や教育へといつものように無尽に進むのですが気づかされるのは自然に身を置いた時の人間のありようみたいなものでとかく「下流老人」や「孤独死」というワードが出てきますがこれって翻って見れば自然の中で暮らしていればあまり出てこない発想なのではないか。瀬戸内寂聴さんも八相図のように野垂れ死んでそれでよしという考え方は文明が自然と切り離された現代だからこその現象かもしれない。山というセーフティネットもあるのか
読了日:9月8日 著者:養老孟司,C.W.ニコル
神秘日本 (角川ソフィア文庫)神秘日本 (角川ソフィア文庫)感想
岡本太郎が日本の土着な文化を巡りながら、弥生的な文化のさらに古層にある縄文を見いだそうとした動きというのは、美術のみならず建築や現在の民俗学などにも影響があったというのを建築家の磯崎新さんの本で知る。太郎が西洋との対比の中で「弥生的な洗練さ」を空虚といい、むしろおどろおどろしいものに美を見出す姿勢は今読んでもインパクトがある。最近だと東北の素朴仏とかボロの再発見もそうだけど表紙のオシラサマなどの神道以前の自然崇拝に近いものは日本人の底流にある気がします。そこから女性賛歌になるのが意外で興味深いテーマだった
読了日:9月8日 著者:岡本太郎
大人の思想 (WIDE SHINSHO220)大人の思想 (WIDE SHINSHO220)感想
ついつい外山先生の本は手にしてしまうのです。今回は「忘れること」の大事さについて書いていて読んでいて清々しい。知識をインプットしすぎてしまうと人間の思考は知識にとらわれてしまうという話。これはとても興味深い。ならば忘れてしまえばいいと先生は言い切る。その手法にはインプット自体を減らしてしまうこともさることながら、睡眠や運動、散歩なんかもいいという。元気に健やかに暮らしている実例ともいえる言葉だけに説得力がある。今の時代、物を減らすだけでなく知識を溜めすぎるが故の「澱」のようなものも忘れていく事が大事なのか
読了日:9月6日 著者:外山滋比古
座らない!: 成果を出し続ける人の健康習慣座らない!: 成果を出し続ける人の健康習慣感想
よい生活習慣とは何かーー。それが健康に繋がるというシンプルな視点で24時間の過ごし方を説いているのが本書。ベースには良い「睡眠」「食事」「運動」につきるのだが、ホワイトカラーを前提にデスクワークの功罪についても言及していてそれがタイトルになっている。しかし実際には本書の内容は実にバランスよく「中庸」な生活を送ることにある。古の人類は一日の大半を動く回って食事の確保をしていた。それから産業革命を経ても人類の体の「生態系」はさほど変化していないのだ。阻害された人類が健康を取り戻すにはバランスもよく最適の書だ。
読了日:9月6日 著者:トム・ラス
黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実感想
ルーシーブラックマン事件の詳細を綴った話題の本。この事件があまり語られないのは、事件の特異性よりも容疑者の織原城ニが訴訟魔だったことからマスコミが慎重だったからだ。そこに切り込んだのが元タイムズの東京支局長。案の定民事で訴えられたが勝訴。それでも弁護費用は1100万円かかったというからむべなるかな。それでも著者の筆致はひるまない。白人のバックパッカーの実態。六本木の夜の街にSM愛好者のサークル、容疑者の背景にある在日の壁。そんなことを丹念に取材を重ねる。しがらみのない異国のジャーナリストの労作。素晴らしい
読了日:9月5日 著者:リチャードロイドパリー
オール・アバウト・セックス (文春文庫)オール・アバウト・セックス (文春文庫)感想
鹿島茂先生の週刊文春の連載をまとめたものの中から、エロに関する本の紹介を中心としたエッセイがてんこもり。最近このての本ってまったく出なkなっているんだろうけど、フシギと読んでいるとある種の古くささを感じてしまった。性のことを考現学的にとらえるというのがちょっと昔の編集なのだなあと思ってしまった
読了日:9月5日 著者:鹿島茂
二人の親を見送って二人の親を見送って感想
しばし岸本さんの著作を読んでいたんだけど、一緒に同居していた父親が亡くなるというのは、本のタイトルからわかっていたものの淡々と書く岸本さんの筆致もいつもよりもウエットな感慨がある。才色兼備の岸本さんが病気を含め、両親の死に立ち会うのは一瞬、大変なことかと思いきや、ほとんどの人はすべて通る道ではないか。そう思わせてくれる本で、この人の誠実な人柄も窺えて読後感はしみじみとしてしまいました
読了日:9月5日 著者:岸本葉子
男おひとりさま道男おひとりさま道感想
上野千鶴子さんの命名したおひとりさまも男のジャンルでもその切れ味は抜群。死別に離婚、元々結婚しない人までも網羅しているが、生病老死の様々な局面を描いていて、まだ老年に届いていない世代にもちょっとしたシュミレーションになるのではないか。実は経済よりも夫婦などの家族関係と対人関係に尽きるのではないかと思った次第。まわりの人を大事にしないといけないですね、としみじみ…
読了日:9月5日 著者:上野千鶴子
もてるための哲学 (PHP新書)もてるための哲学 (PHP新書)感想
もてるといったも異性に好かれるというよりも、人生を生き抜いていくためのキーマンやメンターとめぐり逢うにはどうしたらいいのかというのが中心。それは結局、人格的に美徳に基づいた信頼や謙虚さといったものが求められるという身もふたもない落ちになるのだが…それはそれとして哲学者であるだけに様々な人生の知恵を哲学者たちがどう思索してきたかというエピソードがちりばめられていてそれがサクサクと読めて面白かった。ただタイトルはちょっと大げさかな
読了日:9月2日 著者:小川仁志
絶筆絶筆感想
菊畑茂久馬さんの存在は椹木野衣さんの本の中に出てきていて知った。画家でありながら日本の近現代の画家についての著作も多いということであった。そしてこのタイトル通り日本の著名な画家の絶筆となった作品を紹介しつつ、その足跡を淡々と下筆致でたどっている。この文章がまた実に味わい深いというか余計なものがそぎ落とされていてかつ抑制的で簡潔な書きっぷりでお人柄を感じたものだ。そしていきなり東郷青児について出てくるのだけれど、竹久夢二の最初の妻とのドロドロとかこの時期の画家ならではの公私ないまぜの人生に思いを馳せるばかり
読了日:9月1日 著者:
渡部昇一 青春の読書渡部昇一 青春の読書感想
博覧強記の渡部先生の読書遍歴を綴った大著。でもやはりここは先生の語り口故か非常にわかりやすいし、この記憶の良さは若さの理由かなと思いながら読み進める。講談社の本で育って上智に入ってからはパスカルとアレキシス・カレルをむさぼるように読んだという。個人的には何でも読んでいるイメージが合ったのだけれど、先生の場合は、自分のその時々で夢中になっている思想家やジャンルがあってそこを一個一個押さえていく作業の連続なのだなあとつくづく実感させられた。本多勝一との論争とか糾弾の話も初めて聞いて興味深かったな
読了日:9月1日 著者:渡部昇一
仏教シネマ (お坊さんが読み説く映画の中の生老病死)仏教シネマ (お坊さんが読み説く映画の中の生老病死)感想
仏教といっても必ずしもその教えがあるわけでなく、生病老死がテーマになっている作品を通して日本の社会の問題などについて縦横無尽に語り明かす対談集。秋田さんという方が元々映画のプロデューサーということもあってなかなか映画評論家が紹介しないような邦画についても解説をしていてちょっと目先が変わっていて興味深く読めた。しかも死生観というのは仏教という枠のみならずキリスト教やイスラムなどの一神教の世界にもあるわけで、その概念なんかも映画を通してだとわかりやすいものがあると思う。それにしても映画が見たいが時間がないなあ
読了日:9月1日 著者:釈徹宗,秋田光彦

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posted by nizimasu at 14:13 | TrackBack(0) | BOOKS