2015年03月06日

2015年2月の読書

2015年2月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:4823ページ
ナイス数:176ナイス

日本人にとって聖なるものとは何か - 神と自然の古代学 (中公新書)日本人にとって聖なるものとは何か - 神と自然の古代学 (中公新書)感想
国学院の先生がフィールドワークで足を運んだ聖地を古神道と日本人の精神性に求めていった内容。その中心となるのは古事記や日本書紀の記述との対照だ。その点で非常にオーソドックスだけど、古代人の心のありようとかモノの見え方そのものがかなり違うなあというのが読後感。でもその八百万神といわれる森羅万象に神が宿るという概念は、なぜか日本人だからか、不思議と疑問を持たずに肚に入る感覚というのがあって、今回も本を読みながらやけにするすると読めてしまう感覚がどこか不思議な感慨がありました
読了日:2月22日 著者:上野誠
Brand STORY Design ブランドストーリーの創り方Brand STORY Design ブランドストーリーの創り方感想
このブランドストーリーというのは、楠木健さんの紹介で随分と一般化したイメージがあって、その実践家としてナガオカケンメイさんのところから独立して注目されているのが著者ということらしい。この本では様々なブランドのリニューアルのケーススタディを取り扱っていて納得できる話が多数でした
読了日:2月22日 著者:細谷正人
ヌードと愛国 (講談社現代新書)ヌードと愛国 (講談社現代新書)感想
日本におけるヌードに表現を西洋絵画や文化との対比、時代との相克ととらえて論じていますが決して難しくない。トピックは智恵子抄の高村光太郎夫人が書いた全裸のデッサンに始まり、パルコなどを手がけた石岡瑛子のポスターなど様々だが、個人的に興味は圧倒的に竹久夢二。あの夢二絵の夢路がヌードを描いた背景などを追っていて、どうしても彼の奔放な女性関係などと重ねて読んでしまうがそれも間違いではないらしい。アメリカへの遊学に、浪費癖、山岳画家として評価されないジレンマなど、社会学的な部分とは違うテーマに心奪われた
読了日:2月22日 著者:池川玲子
世界のトップエリートが絶対に妥協しない 小さな習慣世界のトップエリートが絶対に妥協しない 小さな習慣感想
多分、行動修正療法の中でもマイクロ目標を掲げたこの本は、GTD(Get Things Done)と同じぐらい効果ありそうな本。後半はマイクロ目標をダイエットや運動、時間管理や睡眠時間などに置き換えたケーススタディがメインだけど、前半を読めばそのエッセンスは十分理解できると思う。おそらく、時間管理や行動修正では、これとチェックシートがあればかなりの部分変化を促すことができると思うばかり。良書です
読了日:2月19日 著者:キャロライン・L・アーノルド
生きるための料理生きるための料理感想
とてもシンプルな装丁にタイトルは強烈。体は口に入れたものでできているわけで、すごくぐさっと刺さる言葉の数々は印象が強い。紹介されるレシピも素材の持ち味をくずさないようなものばかりで特に葛で素材を凝縮するような調理の仕方はちょっと面倒だけど、食べ物をありがたくいただけるような気がします
読了日:2月18日 著者:たなかれいこ
Jさん&豪さんの世相を斬る! @ロフトプラスワン[青春愛欲編]Jさん&豪さんの世相を斬る! @ロフトプラスワン[青春愛欲編]感想
単純に文字に起こすよりは、ライブで見たいと思える内容。下ねたの重ね方とか、ちょっと活字には向いていないのですね。その点がみうらじゅんさんとかとの違い。でも面白いのは間違いないので人前で読むのはやめた方がいいと思います
読了日:2月18日 著者:杉作J太郎,吉田豪
身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論感想
昔、こういう20代女性の性告白シリーズで「アノアノ」ってあったけど、それと近いものを感じる。日経出身の慶大性だった女性がAVに出て云々…というのは、記号として消費された感もあって、この本はむしろ私小説のようなものだろう。ヤンキーマンガの名作もどれもが私小説であるディティールの再現にあるように、こうした女性による私小説も時代性が感じられるところが面白いポイントかな。でも結局、あぶく銭の使い方や消費のありようはそれほどバリエーションがあるわけでもなく、その時々の言葉の端々からこの人の知性を感じさせる内容でした
読了日:2月18日 著者:鈴木涼美
80's洋楽読本 (洋泉社MOOK)80's洋楽読本 (洋泉社MOOK)感想
資料的な価値はなくて、むしろ雑誌の特集記事のようなざっくりとした構成。卓球やカジヒデキとかがそれぞれきいていた80年代の音楽について語っています。それに80年代と言えばやっぱりMTVが出てきたビデオクリップの時代でもあるのでその辺も網羅しています。やっぱりこの頃ぐらいまでは音楽も細分化されていなくて、おおむねほぼ洋楽という大きなジャンルで聴き込むことができた最後の時代だなと思う。これは90年代のクラブミュージックにもいえるけど、80年代が糞だというのも越えて、もはや香ばしいほどの醸成された世界観だことよ
読了日:2月18日 著者:石野卓球,カジヒデキ,片寄明人,Zeebra,高木完,西寺郷太,ハヤシ,松武秀樹,大根仁,小野島大,恩藏茂,東郷かおる子,高橋芳朗,平山善成
かわいい仏像 たのしい地獄絵かわいい仏像 たのしい地獄絵感想
タイトルにあるかわいい仏像とは、これまたみちのくの作品ばかりなのだ。しかも表紙のようにアンパンマンみたいな素朴仏の世界は、先の国立博物館でのみちのくの仏像展でも見ることができたが、庶民の信仰の産物として生み出されてきた仏様の愛らしいこと。これまでの美術史観とは別のベクトルの調査結果の産物でこれを見た時の衝撃はこの本を読んでも健在。さらに地獄絵は矢島新さんによる素朴絵に続いての解説。これもいい。このへたうまの系譜がたまらなくいとおしく感じるのは、日本の原風景なのかもしれない
読了日:2月17日 著者:須藤弘敏,矢島新
ヤンキーマンガガイドブック (文化系のためのヤンキーマンガ入門)ヤンキーマンガガイドブック (文化系のためのヤンキーマンガ入門)感想
極めてさらりとした「マイルドヤンキー」な本。全体的なケンカマンガや暴走族のマンガの系譜を分類し、紹介するのがメイン。なので個別のマンガの思い入れを読みたいと思った人にはいささか物足りないかも。でも個人的には巻頭に「WORST」の作者の高橋さんが出てくるんですがインタビューの中で圧倒的な影響としてどおくまんの暴力大将と花高をあげていて、この人は本当にわかってらっしゃると、膝を打った次第です(笑)。マンガ体験は80年代で終わっているんだけど、ヤンキーものは今もなかなかいい作品がありそうと思ったのが読後感でした
読了日:2月17日 著者:
赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の2赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の2感想
そしてその2。隠れた名作なんかも網羅しているのがこちら。個人的には「鮭」の高橋由一が書いていた「豆腐」というのが静物画の対象として豆腐を描いていたその題材の西洋との置き換え方に愕然とする。さらに北斎が書いた珍しい肉筆画のスイカもやっぱりエロティシズムを感じたり、小林清親のモダンな作品にも心惹かれる。ここでも赤瀬川さんの解説が素晴らしい。鑑賞者になったり画家そのものになったり、往時の人になりきったりと変幻自在。こちらの読書もまた至福のひとときでした。
読了日:2月17日 著者:赤瀬川原平
赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1感想
赤瀬川さんの文章をこうやってまとめて読んでいくと、やっぱり路上観察で培った細かな観察眼とおかしみみたいなものが伝わってくる。そこ観点でみている日本美術の名作がずらり。大判の判型で作品を全体と細部などにこだわってみせていく。その1はいわゆる美術史にでてくるような作品が多くて、風神雷神のかいせつとかどこか微笑ましいのは作品の醸し出すユーモラスもさることながら、赤瀬川さんの文章の賜物だったりします。楽しく読ませてもらいました
読了日:2月17日 著者:赤瀬川原平
みちのくの仏像 (別冊太陽 日本のこころ)みちのくの仏像 (別冊太陽 日本のこころ)感想
国立博物館での展示でみちのくの仏像を見るにつれいわゆる為政者の発願とは別の文化の中で醸成されたみちのくの仏の世界観にものすごく、衝撃を受けました。そうしたみちのく仏をほぼ網羅した内容がこの太陽の別冊。さh氏んもきれいだし、秋田の小沼神社に聖観音菩薩立像には頭の部分にめんこい雪の精のような顔も乗っていたりしてこれはこれはなんとも愛らしい。また地元の大工さんが作ったような素朴仏もある。技法にも神道との習合が違和感なく成立していて、ついつい東北の素朴さの世界に浸る。それは貧しさからくるのかもしれないがそこがいい
読了日:2月16日 著者:
なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)感想
いわゆる神社で言う八百万の神の由来は何かというのを探った本。タイトルの八幡様は朝鮮からの渡来神だというのが、白眉だろうがそれ以外も色々な信仰から結びついた神様の存在があるのが面白い。もともと神道というのは後の時代になって整備されたもので、その地域や為政者たちの信仰形態が地層のように形式だけがドンドンと蓄積されてきた宗教なのだろうなと考えさせられました。
読了日:2月12日 著者:島田裕巳
浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)感想
実はタイトルはあんまり関係なくて、日本における宗教各派の勃興と歴史をつづっている。島田氏の分類によれば、日本の宗教の動きと言えば、浄土信仰、法華経、密教に禅ということになっている。その4つの潮流から日本の宗教を読み解くもので非常にわかりやすい気がしました。結局、タイトルの答えは本の後半にありますけど、庶民に布教すれば、そこが一番、信者が増えるのは当たり前の答えですね
読了日:2月12日 著者:島田裕巳
刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ (NHKブックス)刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ (NHKブックス)感想
個人的には、春画がなぜあんなに性器を精密に書いたのか当時の人たちの性的なものへの関心が垣間見える。そんなエピソードが続くのだが、この本を読んだのは、江戸時代に作られていた生人形という精密な男女や残酷な場面を再現した作品群の話に興味がわいたからだ。現在では日本でもほとんど現存していなく、むしろ海外で評価されている身体表現としてそのリアルさは西洋人に驚きを持って迎えられているのが面白い。日本ではそれが見せ物として成立させていたというのだから、江戸の日本人のヌード感は今の日本人と全く別物だという気がしてならない
読了日:2月12日 著者:宮下規久朗
音楽談義 Music Conversations (ele-king books)音楽談義 Music Conversations (ele-king books)感想
作家の保坂さんと音楽評論家の湯浅さんは同級生の56歳。そんな二人の対談は同級生だからこその同時代のニュアンスをまとっていて、とても楽しく読めました。音楽の話なんだけど、東急線沿線だったり、東京のレコード店の話とかはどこか昭和40年代の景色も垣間見せてくれます。そこはかとなくゆるい感覚から醸成された批評眼は読んでいて時にどきりとさせられてしまう。後半はエレキングの連載でない語りおろしなのも雑誌の読者には親切でした
読了日:2月10日 著者:保坂和志,湯浅学
五社英雄 (文藝別冊)五社英雄 (文藝別冊)感想
いやはやかっこいい。フジテレビをケンカして辞めて逮捕や不遇の時期を経て、鬼龍院でカムバックも、独自の映像世界で魅了してきた五社さんの生き様そのものが映像のように蘇る証言の数々。春日太一さんの責任編集だから、盟友でもある俳優座の仲代達矢氏の言葉の重みや欠かせない岩下志麻とか、まあ豪華でもある。太く短く濃厚な人生はかっこいい。真似できないけど(笑)
読了日:2月10日 著者:春日太一
健康はシモのほうからやってくる健康はシモのほうからやってくる感想
腸とか健康の話から、最後は書類送検された時に村西とおるのインタビューを読んで救われたとか先生の著書の中でもここまで心情を吐露していて面白い。前から気づいていたが腸のコンディションがまるで脳の役割のように生命を司る大事な部分であるという認識は、三木成夫先生の議論にも繋がるのだろう。しかし、本自体には難しい部分もなく、むしろ腸内環境を整えることで人間の免疫力や健康にもいいというもので、内容はまさにさらっとライトなエッセイだ
読了日:2月7日 著者:藤田紘一郎
仏像図解新書 (小学館101新書)仏像図解新書 (小学館101新書)感想
NHKのほとけの履歴書って番組があって結構、個人的には仏像知識のベースになっているんだけど、それをバージョンアップした内容でわかりやすさではかなりレベルが高いのがこちら。仏像の階層というか、それぞれの役割に応じて色々な仏像があるのがわかる。この本の書いてあることがわかるとかなり仏像の世界観に浸れることに気づいた。信仰とかでなく、親しみとかそんな感情がわいてくるのが不思議。だから仏像は楽しいのかも
読了日:2月7日 著者:石井亜矢子,岩崎隼
仏像は語る 何のために作られたのか (光文社新書)仏像は語る 何のために作られたのか (光文社新書)感想
結構、コンパクトに白鳳時代から鎌倉あたりまでの仏像のできた所以を紹介していて、やはり天皇や武士の台頭などの為政者の発願が多くて、時の仏教のありようのようなものが感じられた。コンパクトな文章でそれぞれのお寺の代表的な仏像の案内でもある。ただ、最後のあとがきを読んであれっと思った。著者が突然、難病にかかって云々…と原稿のトーンとは違う感じに違和感を持ってしまったのが残念。色々、評判もある人のようで他の著書を読む意欲が失せてしまった
読了日:2月4日 著者:宮元健次
たのしみを財産に変える生活たのしみを財産に変える生活感想
大分前に本多翁の本は随分と読んでいてその熱が再燃中。その時はまだライブドア騒動の前だったかな。蓄財という観点で読んでいたんだけど、実はその先にある努力主義とでも言うべきものが心に残りました。メンデルの法則をとりあげて、人間も運命論的に遺伝子によって才能もきまってしまうという説を退けていて、人間こそ、ある程度までは努力においてその人生が開花するという考え方が揺るがずあり、齢80歳を超えての著書の中で断言しているのだから説得力がない訳がない。明治神宮の杜を作った人として再び注目したけど長期視点を常に感じる人だ
読了日:2月1日 著者:本多静六

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posted by nizimasu at 08:48 | TrackBack(0) | BOOKS